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介護の本書評「review-kaigo」

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第383回 安心な認知症

本人も家族も幸せになれるノウハウが満載

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

安心な認知症
繁田雅弘 (監修)、主婦と生活社ライフ・ケア編集部 (編集)、森下えみこ (イラスト)

内容

認知症という病気は本人も家族も不安な気持ちにさせる。だが、感動したり、楽しんだりすることは以前と変わらずできる、その人らしさが失われることはないのが認知症だという。本書では、そんな認知症という病気の専門医、高齢者ケア研究の大学教授、看護師、ケアマネージャー、介護施設の運営者、そして当事者家族たちの知恵が満載となっている。

書評

認知症という病気は、「認知症本人の気持ちに寄り添うこと」が大切であることを頭ではわかっていても、日々の介護生活の中で起こる失敗や態度のせいで、ついつい感情的に振る舞ってしまうことがある。認知症が進むと、介護や付き添いに必要な時間が増え、仕事と介護の両立に苦しんだりすることもある。

だが、ほとんどの人が日常の忙しさを理由に「ではどうしたらよいのか」という新たな一歩を踏み出せないまま、これから御頃嘔吐する問題に向き合おうとしないのが普通だ。だが、このまま認知症という病気から目をそらし続けても良いのだろうか。

本書では認知症診療の第一人者である繁田医師を中心に、認知症の人とその家族を支える「認知症プロフェッショナル」な人々に教えを請い、教えてもらった内容を余すところなく収められている。さまざまなジャンルの人々に話を聞いたことで、最新の認知症医療の視点だけではなく、介護や看護の視点、介護保険サービス活用の視点、介護施設利用の視点、訪問診療の視点などを学び、それぞれの視点から認知症を見ることで、普通の人が知り得ない「常識」がたくさん存在することを気づかされた、と筆者。

さまざまなプロフェッショナルたちの「認知症の不安を安心に変えるアドバイス」は、心の持ちようから実践ノウハウまで、目からウロコの内容ばかり。ほとんどの人が認知症と何かしらか関わり合うことになる日本。本書で先に心づもりをしておくのも良いだろう。

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