いざ!という時の心構えや手続きがこの一冊でわかる。
身近な人が元気なうちに話しておきたい お金のこと 介護のこと
井戸 美枝
内容
本書ではなくなる前にしておきたいこと、亡くなったあとに必要な手続きについてまとめられている。これから介護を受けることになる世代は、自分が介護を受けるその時までに、しっかりと自身の「終活」をしておかなければならないのだ。
書評
両親の最期を見送るのは、「あれをしてあげたらよかった」、「こんなこともしてあげたかった」といった具合に、亡くなったあとに胸がチクリと痛むようなことも少なくない。だが、「しておいてよかった」と思うことだって多いはずだ。筆者もご両親が亡くなったあと、胸がチクリと痛みつつも「やっておいてよかった」と思うことがたくさんあったという。
本書ではなくなる前にしておきたいこと、亡くなったあとに必要な手続きについてまとめられている。親を想定した書き方になっているが、叔父や叔母といった親族、同世代の兄弟、配偶者などについても役立てることができる内容だという。
手続きについては、筆者自身が実際に「どうすれば効率的に手続きできるか」を考えて実践した方法も紹介されている。こうしたことは介護や看護が必要となったり、訃報に接しないとなかなか行動に移すのは難しいだろう。しかし、元気なうちにしておくことで、大きな利点も生まれてくる。手続きがスムーズに進むというのはもちろんだが、何より、旅立つ人、見送る人の双方が安らかでいられるのだ。
筆者はそうした体験をより身近に感じてほしいと、たくさんのエピソードを本書に盛り込んでいる。体調が変化していくとどんなことが起こるのか、どんな困りごとが生じてどんな解決法があるのか。なぜ元気なうちにしておくべきなのかも本書に記されている。読めばその理由がよく理解できると思う。